1. ドルビーアトモスを出力するためのオーディオミドルウェアのセットアップ
WwiseもFMODもドルビーアトモスを既にサポートしているので、簡単に、そして無料で、サウンドを3次元にダイナミックなパンニングを開始できます。
ドルビーアトモス推奨のオーディオミドルウェアから出力する方法については、Formosa Groupの受賞歴のある音響技術者で、『Ori and the Will of the Wisps』のシニアサウンドスーパーバイザーのKristoffer Larsonが作成した以下のチュートリアルビデオをご覧ください。
2. ミックスルームに
天井スピーカーを追加する
ドルビーアトモスと空間オーディオの重要な要素に、オーバーヘッドサウンドがあります。飛び込むドラゴンの咆哮や、誰かがいることを知らせる2階の足音など、サウンドスケープに新しい次元を与え、プレイヤーにゲームの世界に入り込んだような感覚を与える新しい創造の機会を提供します。
このようなオーバーヘッドサウンドをモニタリングするために、ドルビーアトモスのミックススタジオでは天井スピーカーを使用しています。プロのドルビーアトモスミックス・ルームは、従来の7.1サラウンド・サウンド・セットアップをベースに、天井に4つのスピーカーを追加しています。このスピーカー・セットアップは7.1.4と呼ばれ、3番目の数字は上部にあるスピーカーの数を表します。
ドルビーアトモスは、音色や周波数に影響を与えることなく、リスナーの周囲と上方に音をパンニングすることができます。サブウーファーを除くすべてのモニタースピーカーを同じメーカーとモデルにして、周波数特性の不一致による音質のずれを防ぐのが理想です。予算やロジスティックの関係でそれが難しい場合、モニターメーカーによっては、他のモデルラインの周波数特性にマッチするように設計されたモデルを製造していますが、天井への取り付けが容易な寸法や形状になっているものもあります。
また、ミックスルームから離れた場所にいるときや、スタジオに入る前に仕事を済ませたいときは、開発キットで無償提供されているDolby Atmos for Headphonesでミックスすることもできます。どんなヘッドホンでも接続するだけで、周囲と頭上のサウンドをそのまま体験できます。
3. すべてを接続する
ドルビーアトモスを出力するためのワークステーションのセットアップと、スピーカーまたはヘッドホンによるモニタリング環境が準備できたら、次はそれらをすべて接続します。一般的な信号のセットアップは2種類あります。
ほんんどのAAAスタジオでは、モニターコントローラーを使ったマルチソースパスの使用するケースが多く、デジタルオーディオワークステーション(DAW)、またはドルビーアトモスに対応した民生様のAVR(AVアンプ)にHDMIで接続した開発用PCまたはコンソールからのミックスを試聴する環境が用意されています。DAWをI/Oユニットまたはミキシングコンソールからモニタコントローラに接続し、アナログプリアンプ出力でドルビーアトモス対応AVRをモニターコンソールに接続します。

ドルビーアトモスに対応した民生用AVR(AVアンプ)を、レンダラーとモニター・コントローラのオールインワンとして使用すれば、よりシンプルなシングル・シグナルパスでのセットアップが可能になる場合もあります。DAWと開発用PCまたはコンソールをAVRに接続し、AVRをセルフパワーモニタに接続します。この構成は、ゲーム内のドルビーアトモスコンテンツのモニタリングには有効ですが、リニアコンテンツ制作のための最大チャンネルサポートは、AVRのプリアンプ入力(通常、7.1チャンネル信号の場合は8)によって制限されるので注意が必要です。また、ほとんどのマルチチャンネル・プリアンプ入力はベースマネジメント回路を経由しないので、これは別の場所で処理する必要があります。